静かな夏の午後、東京・目黒の商店街に、かすかな風鈴の音が響いていた。1943年、昭和18年のこの日、7歳のタカシは、自分の生まれ育った街が、何か変わってきていることを感じていた。 タカシは、いつもより静かな商店街を歩きながら、ふと立ち止まった。 「タカシくん!」 振り返ると、幼なじみの健太が駆けてきた。 「健太くん、どうしたの?」タカシは首をかしげて尋ねた。 健太は息を切らせながら答えた。「タカシくんのお家、引っ越すって本当?」 タカシは少し悲しそうに頷いた。「うん...茨城のおばさんのお家に行くんだって」 「そっか...」健太の声には寂しさが混じっていた。「でも、また会えるよね?」 「うん、きっと帰ってくるよ」タカシは笑顔で答えた。 その時、母の声が聞こえてきた。 「タカシ、こっちよ。急いで」 タカシは健太に手を振った。「じゃあね、健太くん。元気でいてね」 「うん、タカシくんも元気でね」 二人は別れを惜しみながら、互いに手を振った。 --- 真壁駅に降り立ったタカシは、目の前に広がる田んぼや山々を見て、大きな目を丸くした。 「タカシ、ここが私たちの新しいお家よ」母の声に、タカシは我に返った。 玄関で彼らを出迎えたのは、タカシの親戚のおばさんだった。 「よく来ただねぇ。大変だっぺ」おばさんの優しい声に、タカシは少し緊張しながらも安心した。 「こんにちは、おばさん」タカシは小さく答えた。 「いらっしゃい、タカシ」おばさんは優しく微笑んだ。「さあ、中に入って。おせんべいもあっぺよ」 家に入ると、懐かしい畳の香りがした。 「タカシ、お布団はこっちよ」母が手招きした。「明日からは新しい生活の始まりだからね」 「うん...」タカシは少し不安そうに答えた。 おばさんが優しく声をかけた。「大丈夫だよ、タカシ。ここにはたくさんのお友達ができっぺよ」 タカシは小さく頷いた。「うん、がんばるよ」 --- 数日後、タカシは地元の子供たちと初めて遊ぶことになった。 「おめぇ、どっから来ただ?」地元の少年が声をかけてきた。 タカシは少し怯えながら答えた。「え、えっと...東京から来ました」 周りの子供たちが不思議そうな顔をした。 「東京?すげぇじゃん。でも、ここじゃそげな言葉使わねえぞ」年上の子が言った。 タカシは困った顔をした。「ごめんなさい...」 その日の夕方、家に帰ったタカシはおばさ
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