皆さんで「しりとり」をしたらこんな結果になりました(^_^)v
『夏空→らっきょう→うさぎ→「ギョッとする暑さ」→「桜、桜」→「ラッパを吹きたいな」、「夏みかん食べたいな」→「納豆は健康にいいよ」→陽気なユニークケア→「あー!楽しいなぁー!」→「アイスを食べて涼しくなりたい」→イナゴとり→「リスは可愛いよ」→「よかったねぇ」→「絵のように美しい!」→「色気もたっぷり」→「りんご大好き!」→「君の心は美しい!」→「いやーん、やめて!」』
楽しいしりとりでしたので、さらに皆さんで楽しもうと、「芥川賞を取れるよな小説にしてください」とAIに頼んで、52秒で書いてもらいました(^^)
『夏空のユニークケア』
苫小牧の空には、七月のはじまりから濃い青が定着し、雲の輪郭さえもくっきりと際立っていました。港に面した通りを北に折れると、白樺とトドマツの混じる並木がゆるやかに揺れ、潮の匂いをわずかにまとった風が肌を撫でます。わたし――佐伯優花は、その並木の奥にある通所介護施設「陽気なユニークケア」へ勤め始めて三か月目を迎えていました。
一 夏空
朝の送迎車を降りた瞬間、利用者の木島さんが額に手を当ててつぶやきました。
「ギョッとする暑さだねぇ、こんな苫小牧は珍しいよ」
わたしは笑ってうなずき、敷地の花壇へ目をやりました。ハマナスとラベンダーが色濃く匂い立ち、その向こうの空はまさに絵具をこぼしたような夏空でした。
二 桜とラッパ
午前のレクリエーションは合唱でした。ピアノ伴奏に合わせて、春の曲を希望する声があり、みんなで「桜、桜」をそっと口ずさみます。歌い終わると、座っていた小柄な竹中さんが、子どもの頃ブラスバンドに憧れていたと語り、両手で虚空を押さえながら叫びました。
「ラッパを吹きたいな」
透き通る声にホールは笑いに包まれます。わたしは紙筒で作った簡易トランペットを差し出し、「ぜひリハーサルを」と勧めました。竹中さんが唇を震わせて“ファンファーレ”を鳴らすと、周囲から「あー!楽しいなぁー!」という歓声が上がりました。
三 昼下がりの味覚
昼食のメインは鰊の味噌煮でしたが、木島さんはデザートの前に目を輝かせ、
「夏みかん食べたいな」
とおっしゃいます。厨房では別の柑橘を用意していましたが、幸運にも職員用の冷蔵庫にじゅうぶんな夏みかんがありました。
すると横から栄養士の高坂さんが真顔でフライパンを振りながら一言。
「納豆は健康にいいよ。ビタミンも摂りましょう」
食堂に笑いが溢れ、わたしは夏みかんを切り分ける傍ら、香りの強いらっきょうを小皿に盛り直しました。
その午後は少人数で近くの緑地を散策する日です。陽射しが強いので、アイスクリームも保冷箱に忍ばせておきました。
四 イナゴとり
苫小牧駅から伸びる線路の南側に、湿原へ続く小道があります。そこにはかつて、子どもたちがイナゴとりを楽しんだ草地が残っていました。木島さんが昔の収穫祭について語り、「小さなバケツが跳ねるんだよ」と目を細めます。
途中、木陰で休憩を取ると、わたしは保冷箱を開けて声を掛けました。
「『アイスを食べて涼しくなりたい』方、いらっしゃいますか?」
返事は拍手で返ってきました。溶けかけたバニラを配り終えたとき、竹中さんが遠くのエゾリスを指さして叫びます。
「リスは可愛いよ!」
リスは一瞬立ち止まり、わたしたちを見つめるように尻尾を揺らしました。その仕草に、木島さんが小さく拍手をして、
「よかったねぇ」
と呟きました。
わたしはその場の空気がゆっくりと澄んでいくのを感じました。湿原の奥から吹く風はまだ温かく、けれど不思議と肌には心地よいものでした。
五 絵画のように
帰所後、午後プログラムは水彩画です。白樺林と湿原の遠景を投影したスクリーンを見て、竹中さんが高らかに宣言しました。
「絵のように美しい!」
わたしは筆に水を含ませながら、皆さんの色選びを手伝います。木島さんは紫がかった陰影を好み、竹中さんは鮮烈な橙を重ねました。
そのとき、斜め向かいの須藤さん――若い頃オペラに親しんだ方――が、乾いた笑いを伴って言いました。
「この構図には色気もたっぷりね」
わたしは頬が熱くなるのを感じつつ、にこやかにうなずきました。
六 うさぎとりんごと
夕刻、ホールの片隅に飼育ケースがあります。中には茶色の小さなうさぎが二匹。毛並みを撫でると、須藤さんが少女のような声を上げました。
「りんご大好き!って顔をしてるわ」
わたしはりんごを薄く切り、慎重に差し出しました。うさぎは鼻をひくひくさせて頬張り、周囲には柔らかな笑いが咲きました。
そのとき、向かいのテーブルで一心に絵筆を動かしていた木島さんが、急に筆を止め、こちらへ向き直ります。
「君の心は美しい!」
唐突な賞賛に場が静まりましたが、竹中さんがすぐに大袈裟に肩を揺らし、
「いやーん、やめて!」
と茶目っ気たっぷりに叫び、皆の笑いを誘います。わたしは胸にひそかな熱を抱えながら、ありがとうございます、とだけ答えました。
七 夜の港
閉所のあとは当番のわたしが送迎車で最後の利用者を届け、施設へ戻ります。苫小牧の港は日没の影を映し、照明塔がゆらめく波に伸びていました。
車を降りると、汗ばんだ空気がまだ残っていましたが、海風に混じる涼しさは日中の暑気を和らげてくれます。
玄関前の掲示板には、今日の活動記録とともに竹中さんの水彩画が貼られていました。白樺と湿原が柔らかい藍と橙で描かれ、そこに小さく「陽気なユニークケア」とサインがあります。
わたしは深呼吸し、心の中でつぶやきました。
――この場所で交わされた言葉は、どれも小さな宝石のように光る。
らっきょうの酸味も、夏みかんの甘さも、遠く走る鉄道の響きも、
そして苫小牧の海と森を抱く夏空までも。
夜の施設に鍵を掛けたとき、遠くで汽笛が短く鳴りました。それは竹中さんの紙ラッパにも似て、どこか晴れがましく聞こえたのです。
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